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私の猫は天才です

 

去年の10月から猫を飼いはじめた。名前は、カニエ・ウエストだ。もともと「カニ」という名前をつけようとしていたのだが、たまたまテレビをつけたら彼がうつっていたので、カニエ・ウエストのほうがかっこいいなと思い、名付けた。文句あるか。

 

 

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カニは、もともと野良で生まれたらしく、生まれたてのところを保護活動している方に発見され、保護されたようだ。2ヶ月後に私がその方から引き取って、一緒に暮らしている。

 

猫を飼うのは初めてなのと、カニが異常なほど(といっても、他の猫をあまり知らないのだが)人見知りなこともあり、最初はたいへん苦戦をした。私のことをなにか大きな悪いやつだと思っているのか、私のことを丸い目で凝視し、後ずさりしていく。その姿はまるで、私が地元の駅で苦手な先輩を見かけたときと同じだったので、すげえ親近感が湧いた。

 

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猫というのは、自由気ままで、飼い主に好かれようが嫌われようが気にしない強さみたいなのがある。

だから、壁紙を引っ掻いたり、素足に噛み付いたり、うんこのかけらを肛門付近の毛に付着させながら家中を走り回ったり。そんなことを堂々としてのける。私には、そんな勝手な猫の行動を許容できるほどの器はなく、ひとつひとつの行動にカチンときてしまい、怒ったりしてしまうこともある。

それでもカニは、「なんですか急に大声出して」という顔で私のことを見ながら、どっか別の場所にゆっくり歩いていく。腹がたつ。腹がたつけれど、その姿がなんか愛らしくて許してしまうのだ。

 

入って欲しくないクローゼットに入ろうとしたとき、抱きかかえて遠くに降ろす。そしたらカニは、私のほうをキッと睨み、スパパパパ、と一目散にクローゼットの中にダイブする。こういった秩序やルールをものともしない気骨というのは、私に足りていない部分だなあ。そんなことを思いながら、メゾンキツネのワンピースに噛み付いているカニを眺めている。

 

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△ハンモック型のベッド 

 

そんなパンクなカニなのだが、なんと、頭がいいのです。インテリたるゆえ、社会に歯向かっているパターンのパンクなのだ。

 

私の家には、猫用のハンモック型のベッドが置いてあり、そのハンモックのたるんでいる部分に、猫用のおもちゃを収納している。猫のおもちゃというのは、音のなるボールとかそういうやつで、踏むと痛えし蹴るとガシャガシャうるせえしなので、床に置いておくと微妙にストレスなのだ。

 

ある日、カニがハンモックの中をじっと見ていた。ボールのおもちゃで遊びたいような感じだった。ハンモックの中に手を伸ばしてちょんちょん触るけれど、猫の手ではボールはつかめない。その様がかなり可愛かったので、ウフフと思いながら眺めていたら、なんと、

 

 

 

 

 

 

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びっくりした。人間でもここまで機転を利かすことはできないよ。そこで私は考えました。もしかしたら、カニは、猫界のアインシュタインなんじゃないかと。

 

そういえば、先日、急にウォォオと叫びながらカーテンに突進していき、ベランダからちょうど隠れる部分のカーテンを綺麗に裂いたときがあった。

 

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写真は夜なので分かりづらいが、結果的に日当たりがよくなり、たいへん居心地のいい部屋へと変身したのだ。カニは、カーテンを裂くことでもたらされるメリットを計算した上で、行動にうつしたに違いない。カニは、思考力と行動力、その2つを兼ね備えたすごい猫なのだ。

 

そうなったら、教育が大事だ。受ける教育によって、その子の将来はだいぶ変わってくる。この才能を生かすために、私は教育を施すことに決めた。 

 

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まずは、分身を見破れる術を身につけてほしい。そう思い、合わせ鏡の真ん中にねこじゃらしを置き、ねこじゃらしを3つに分身させた。

「本物がわかるかな?」そう呟きながら、ねこじゃらしを振ったところ、カニは、スパパパパと鏡に突進していった。その迷いのない間違いっぷりが、逆に嘘みたいだった。AとBのパネルがあって、正解だと思う方に突っ込むテレビの企画みたいだ。不正解のほうに突っ込むと泥まみれになるやつ。おいしいと思って、芸人がわざと間違えたりするやつ。あの番組のあざとさみたいなのを猫に感じてしまった。気をつかわれているのかな。

 

しかし、カニは天才なので、3回目くらいで分身を見破り、それ以降はいくらやっても本物に突進するようになった。

 

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もう遊びはやめにしよう。

 

私は、餌を5粒取り出し、カニの前にならべた。1つを引っ込めた。「5ひく1、これが4」。もう1つ引っ込めた。「5ひく2、これが3」。もう1つ「5ひく3、これが2」。もう1つ「5ひく4、これが1」。「それで、全部ないのは、ゼロ」両手の親指と人差し指で輪を作って、カニに見せた。私は、ゼロの概念をカニに学んで欲しかったのだ。この世は全て、ゼロから始まる。学びとは全てゼロから始まるのだ。

 

カニは、数秒だけ輪を見つめて、ゴミ箱に突進していき、中に入っているゴミを散らかした。彼はなにか、絶望的な世界の真理を悟ってしまったのだろうか。そうに違いない。