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日常をゆるやかに破壊するコント、明日のアーについて<藤原・恐山・大北 鼎談 >

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踵の皮をぺりぺりめくりながら、「飽きたなー」と思ってきた。ずっと同じ体だし、顔だし、世界だし。インターネットでみんなが話している内容も、サブジェクトが変わるだけで本質は変わらない。それがいいとか悪いとか、私は判断がつかないんだけど、とにかく飽きてしまった。急に体がカービィみたいな丸い球体になるくらいの変化がほしい。

 

飽きてきたから髪を染めてみたりしてみたけれど、そんなことじゃなかった。見た目を変えても、楽しいことはあんまりない。

 

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「Windowsアップデートが俺たちになにかしてくれたことがあるか。一度でも、たった一度でもだ」

「Windowsアップデートは突然に」/監督・脚本 大北栄人

 

「明日のアー」というコントグループは、そんな日常をゆるやかに破壊してくれる。

 

主宰の大北さんが監督をした「Windowsアップデートは突然に」という短編映画は、人生の大切な局面でWindowsアップデートが始まってしまう主人公を描いている。

大北さんの描く日常と地続きにある冗談は、ばかばかしくて別になんも身にならない。でも、見飽きた日常の違った見方を教えてくれる先生みたいな存在でもある。

 

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左から、ダ・ヴィンチ恐山、大北栄人、藤原麻里菜

 

「明日のアー」の公演がもうすぐ始まるということで、大北さんを中心になんか話そうか、と集まった。

仮面を被っているのはダ・ヴィンチ恐山さん。オモコロの編集部として記事を書いたり、品田遊という名前で小説を執筆したりしている。彼が書くものも、飽きた日常をばかにするような、そんなおもしろさを感じる。

 

omocoro.jp

 

場所は、昭和初期から著名な演劇人たちが集まり、議論に熱をあげていたと言われる「バーミヤン」だ。

 

インターネットからでてきたアー

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大北「2人に会うのはサイゼ以来やね」

藤原「たしかにそれ以来ぶりだー。高いワインを頼んだらパッケージがイラレで盛り上がりましたね」

 

 

 

藤原「我々の共通点ってなんだろ。インターネットでなんかやってることですかね」 

大北「冗談をやってるね」

恐山「たしかに、”冗談”ですね。ただの冗談をやってる」

 

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賢一郎「もし、父親なんてものがここに現れたとしたら、それは俺の敵だ。でてけ!」

父「だから、上座はいやだって言ったんだよな」

2×4の家に父帰る / 「観光」

 

藤原「でも、アーはネットから離れた”舞台”というところで勝負していますよね」 

大北「今まで、コントってふつうはお笑い芸人がやるものだ、みたいなところがあり、それか、演劇の人か。でも、アーは、そのどちらでもなくて」 

藤原「ちょっとイロモノ扱いされてしまうことはありますよね」

大北「初年度はそうでしたねー。ネットからでてきたやつ、みたいな。でも、最近は違うかな。舞台芸術って、どうしても技術が必要じゃないですか。そっちの方に足を踏み入れてきたような。違うかな」

 

「ママさんバレーみたいなことをしたかった」

 

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土屋「色々、あった」

女「裏切られたり?」

土屋「そうね、私にもクックパッドで煮え湯のレシピを検索した夜があったわ」

女「煮え湯を、飲まされたんじゃなくて、自主的に飲んだんですね、煮え湯を

-中略-

土屋「つくってみました」

女「つくレポまで!」

自己複製する恋/「猫の未来予想図Ⅱ」

  

藤原「明日のアーのコントを演じるメンバーは、俳優もいるし、藤原さんとか土屋さんとか、よシまるシンさんとか。俳優ではない人たちも多くて、それがアーだな、という感じがします」

恐山「知り合いのほうが面白さを直感的に分かってくれるから誘ったんですか?」

大北「うーん、もっと前段階の話かな。表現って恥ずかしいもので、それを知らない人を集めてやるのはなかなかハードルが高いですよねー。なんていうか、」

 

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大北「ママさんバレーみたいなことやりたかったんですよ」

藤原「ママさんバレーかー」

 

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「共和も民主もどっちもがんばれ。アメリカよフォーエバー」

アメリカが好きな橋田/プープTV

 

藤原「大北さんって、知り合いに変なことやらせるの上手いですよね。共和のときにタン、民主のときにウンでアメリカの政権を楽譜にしてカスタネットやらせたり。そういう動画から、やらされている人のゆるやかな空気の面白さを感じます。多くの人にウケるものじゃないかもしれないけれど、すごく好きです」

 

大北「メジャーなおもしろさと自分だけが好きなおもしろさってない? みんなどう折り合いつけてるのかな」

恐山「自分だけがおもしろく感じることというのはあまりないかもしれないですね。なにか思いつくとしたら、どこかしらの層にウケるだろうなという公算があります」

 

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恐山「たまにやるんですけど、任意のユーザーのツイッターアカウントを100件以上遡ってみて、好きそうなツイートを分析してつぶやいて、その人からお気に入りをもらえるようにツイートを試行錯誤したりしますね。お気に入りされたら、すごくうれしい」

 

大北「職人の域だ」

 

ナンセンス学ロジック派

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「俺が、おとりとなって川下のほうにおどりでる。みんなは一列になって縦走し援護。吉田は最後尾について大きく迂回し、告りに行け! そして、OKをもらえ!」

非常事態の恋は非常事態/「観光」

 
恐山「大北さんは、書こうと思う気になるまで待ちますか?」

大北「うーん、けっこうロジックで書いているので、そのロジックの道が通ったら書き始めるって感じです」

藤原「ロジック!」

大北「結構、右脳というか、感覚で書く人も多いかもしれないけれど、そんなタイプじゃなかったな、と思って。ガチガチのロジックを考えてから書きます」

藤原「でも、コントってそっちのほうが見やすいですよね。ふざけを洗練させるためには、ロジックが必要だなと思います」

大北「見ていて緊張感とか危うさがない気もするんですよね」



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女「気持ちを、複製……?」

土屋「そう。誰かの好きだという気持ちを複製することにしたの。そうすると好きだって気持ちはずっと残る。自己複製するウイルスみたいに」

女「それでいいんですか?」

土屋「いい。幸せです。」

-中略-

女「……じゃあ聞かせてください。そのあなたの複製してきた好きって気持ちは、だれを好きなんですか?」

土屋「わかりました、私の好きだっていう気持ちを繰り返してください」

女「はい、おねがいします」

土屋「……炭火で…」

女「炭火で…」

土屋「……焼き肉が」

女「おやおやおや…」

土屋「食べたい!」

女「……牛角ですね、それ」

自己複製する恋 /「猫の未来予想図Ⅱ」

 

大北「”あるある”が好きなんですよ。あるあるって無価値なものだと思ってて、それを価値のあるものに置き換えるのが好き。大切な場面で『炭火でやきにくがたべたい』っていう牛角のコピーを言いたい」

恐山「私が明日のアーを見ていて思うのは、『そのあるある通じると思ってるんだ』というところですね」

藤原「わかります。ダーツみたいな的があるとしたらすごく端っこのところだとおもいます」

大北「伝わりづらいことも、大きな声で言えば通ると思ってるところはあるよ」

 

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恐山「そういうことも含めて、見ているときの印象だと、ロジカルな感じはないかもしれないです。狂の人、だと思ってました」

大北「そうかなー。けっこう考えてます。ドラマチックな場面であるあるを入れる、っていうさっきのもそうだし。何か一つのパターンを見つけてそれをズラしていくことを考えてやってますね。お笑いって論理構造だと思っていて、論理を崩すから面白いみたいな」

藤原「ああ、なるほど」

大北「ナンセンス……。ナンセンスなんだけど、わけわからないことをバーっとやるわけじゃなくて、ロジックで笑えることをちゃんと考えるようにしてますね。だから、僕はナンセンス学の最ロジック派ですね」

 

藤原「あー。でも、ヤバめの家に住んでる人とかも、その人なりにロジカルに考えて変な家を作ってますよね」

大北「文字で埋め尽くされた家とか」

藤原「そうそう。それと同じにおいもするな」

 

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藤原「ていうか、すみません。大北さん、その自転車乗ってるんですか」

大北「うん」

藤原「なんか、カゴがあるべきところに平たい網がくくりつけられてますけど」

恐山「これが、ロジカルに考えられた自転車か」

大北「いや、これは、まったく考えていない自転車です」

 

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藤原「次の本公演は11月の頭からですねー。楽しみだ」

大北「『最高のアー』というタイトルをつけてしまったので、書けなくなっちゃったんですよね」

藤原「自分でハードルをあげてしまったんですか」

恐山「『書けなさ』という日記をnoteで更新してましたよね」

大北「そうそう。書けなくなったから、書けないことを書こうと思って、それをテーマにしました。でも、やればいいのにやらない、みたいなことって、今までの人生でたくさんあったなあと思って。宿題とか、勉強とか。そういう『やらなさ』ってあるなあと」

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恐山「プロにみられたい、みたいな思いってありますか?」

大北「うーん、僕自身は『ちゃんと考えてるね』と思われたい気持ちはあるかな。でも、アーはいろいろな人が集まってきてるから。ずっと最強の草野球チームでいれたらいいですね。でも、びっくりするほどうまくなってもおもしろいけどね」



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嫁「それ、お見合いアプリですか?」

義父「うん」

嫁「いいですね。そういうのも」

義父「女の子が服を脱いだり着たりしてるからね。なんかエッチなものが見れるんじゃないかと思って」

嫁「すごい。広告の意図通りに動いていますね」

義父のうどん屋 / 観光

 

「明日のアー」というグループ名のアーは、恥ずかしいことを思い出してアーとなることのアーらしい。明日のアー。

 

舞台にあがった役者たち、脚本を「書けない」と言いながら書き進める大北さん。ツイート職人と化している恐山さん。踵の皮をぺりぺりはいでカービィになりたがっている私。

日常はずっと地続きだ。「本番」がはじまってもその境目なんてなくて、ずっと日常が続いていく。でも、本番中に私と大北さんと役者の日常がクロスする。そこから生まれるものは、感じられることはなんだろう。

 

日常はあまりにもおかしくて、新しいものがたくさんひそんでいる。それを毎年教えてくれるのは、明日のアーなのだ。

 

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テアトロコント special 明日のアー vol.5

『最高のアー 』

作・演出・出演:大北栄人

 

出演:

笠木泉/桑原美穂(左右)/ナツノカモ/7A

花池洋輝(左右)/藤原浩一/

八木光太郎/よシまるシン/

ゲスト出演:石川浩司 (パスカルズ、exたま)

 

音楽&演奏:左右

舞台美術:最高記念室

 

2019年11月3日(日)〜6日(水) 全6回

 

場所:ユーロスペース

チケット: https://t.livepocket.jp/t/saikou

 

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photo by 7A(https://twitter.com/hatokowai )

 

私は慎ましく生きられるのか #1 土鍋ご飯

 

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浪費が好きだ。将来の夢はドバイにマンションを買うことだ。毎日、昼からシャンパンを飲んでカジノをやって、筋肉質で彫りの深いメンズを5人くらい周りにはべらせて、動物の毛皮を首に巻いて暮らしたい。ドバイがどこにあるかはよく分かってないし、シャンパンは美味いけど、カジノの楽しさは知らん。イケメンと喋るのは緊張するし、動物の毛皮とか悲しいからあんまりつけなくないけど、まあとにかく、絵に描いたようなゴージャスな暮らしを夢見て、というかインターネットドリームで1年後にはなんやかんやそのくらい金持ちになってるだろ、という甘い考えを持って生きている。

 

私はフリーランスという名のプー太郎、女の子だからプー子か。なので、あんまり稼ぎは安定していない。でもたまに、ドカっと大金が入ってくるときがあり、そんなときには毎晩飲み歩いたり、外食をしたり、タバコを吸ったり、コンビニでどかすか物を買ったりしている。

で、お金がなくなるわけだけれど、頭が悪いのでお金がなくなったことに気づかず、同じように浪費し、だんだんと口座の残高がゼロに近づいてきて、ときにはエポスATMというお金が無限に出てくる箱に入り、キャッシングローンというやつをやったりする。

 

その度に、後悔する。けれど、この派手さがかっこいいのだ。とか言い訳して、自分のダメさを肯定してきた。

 

最近、料理研究家の土井善晴先生にはまっている。土井先生が出演している「きょうの料理」に伝説の回があるのをご存知だろうか。「塩むすび」の回だ。私も内容をまとめているブログでしか情報を得ていないのだが、それでも料理の哲学みたいなものが分かる内容で、自分でご飯を作る喜びや楽しさ、日本の良き慎ましさを感じた。

 

私も慎ましく生きたい。

 

くるりを聴いてギターを始めたように、千鳥を見てお笑いを始めたように、私は土井先生の塩むすびを見て、慎ましく生きることに憧れた。

 

ギターはFが弾けなくて諦めたし、お笑いもセンスがなくてやめちゃったけど、私は慎ましく生きられるのか。

 

 

節約というのはダサさをともなう

 

慎ましく生きる、つまり、私は節約をしたい。身分に合わない浪費を続けるのはもうやめにして、叶いそうもない理想を夢見てはいたいけれど、私は節約してちゃんと貯金をしたいのだ。老後に2000万かかるとか、そんなことを言われたらそう考えるのが普通だとおもう。あと、ここ数ヶ月仕事をサボっていたり、スタジオを作ったりして支出も多かったので、あと1ヶ月生きられるかどうか、という切実な金のなさが訪れていることもある。

 

お金のことを理解して、ちゃんと貯金をして、堅実に生きていきたいのだ。

 

とりあえず、節約の基本である自炊に挑戦しようとしている。自炊しよう自炊しようと思っているのだが、私の家には炊飯器がない。なので、3玉99円のうどんとソーセージを醤油で炒めて焼うどんを作ってみた。

 

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私は、料理に興味を持ってこなかった。「食べられる」というラインをギリギリ合格したくらいのレベルのものしか作れない。私はこの醤油うどんがけっこう好きなのだが、食べていると虚無。

 

醤油うどんを食べながら、節約をする自分を俯瞰で見てみた。こんな自分が好きかどうかで言われたら、あんまり好きじゃない。ほんとは昼からシャンパンを飲んでカジノでパーっと遊んでいたいのに、醤油うどんを食べている。わびしさ。

 

理想と現実のギャップが私を責める。

 

後から振り返ると、ここが、節約のキーポイントである。

つまり、浪費を夢見ている私のような者は、節約に対してダサい、つまらない。といった思いを抱いているのだ。

節約をしている自分はキャラに合っていないような気までしてくる。節約をすることで、なんだかアイデンティティが潰されてしまう気がするのだ。この妄想に襲われてしまうと、節約の道がだんだんと遠のいていく。

 

第一に、私は「ていねいな暮らし」というやつを見ると「うるせー」という気持ちになり、そういった投稿を見るたびに松屋で牛丼を食べたりプラスチック製品を大量に買ったりしていた。

 

また、私の母は登山が好きなのだが、それも、「なんでわざわざ山に登るのですか」と嫌味ったらしく聞いたりしていた。富士山までエレベーターがあったら、私はそれで登るなあ。とか、言っちゃう。文明の利器で楽しみをぶち壊してやるぜ。と、思ったりしちゃう。

 

しかし、このままだと財布にも地球にも悪い人になり、おちていく。どうすれば私が節約に一歩踏み出せるかを考えたところ、アイドルを見つけることが大切ではないかと思った。節約している自分ってかっこいいなあ。と、思えるようなアイドルを見つけるのだ。

 

やはりきっかけとなった土井先生はアイドルだ。そして、熱海に住んでいる友達のMもそうだ。高校のときからの友達なんだけど、彼女は高校の時から慎ましくて、すてきだった。フリマでおしゃれな服を見つけるのがうまかったり、水筒にお茶を淹れてもってきたりして、なんかライフスタイルがすげえすてきだったのだ。

 

Mに会う機会があったので、ふだん食べているご飯について聞いてみた。「朝は納豆ご飯で、昼はサラダで、夜はご飯と魚」だそうだ。私はその回答にしびれた。くるりのばらの花を聴いたときのように、千鳥の漫才を初めてみたときのように、しびれた。

 

私も慎ましく生きんのさ。

 

ごはんを慎ましくする

 

Mは、今は炊飯器で米を炊いているそうだが、前までは鍋で炊いていたそうだ。鍋! 鍋で米を炊く! その発想はなかった。家に帰って、買ってから放置していた土鍋をメドメした。

この土鍋は3年前に、今と同じように「慎ましく生きよう!」と奮い立ったときに買ったのだが、「メドメ」がめんどくさくてそのままずっと放置していたものだ。

 

 

銀峯陶器 萬古焼 土鍋 (深鍋) 6号 1人用 花三島 21061

銀峯陶器 萬古焼 土鍋 (深鍋) 6号 1人用 花三島 21061

 

 

 

メドメの説明をすると、土鍋はそのまま使うとひび割れてしまうそうなので、お米のとぎ汁(小麦粉などでも可)を入れて沸騰させ、でんぷん質をなんか土の穴的な部分に入れていい感じにしなければならないらしい。

 

鍋をさましている間に眠り、朝になって米を炊いた。

 

 

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米と同じ体積の水を入れる。150グラムが一合分です。お米を洗ったらちょっとだけつけとく。

 

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強火から中火で沸騰するまで(10分くらい)。

ぐつぐついったら弱火にして15分。蓋を開けてみて水気がなかったら、再び蓋を閉めて10秒だけ強火で加熱してから、火を止めて15分ほど蒸らす。

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そしたらツヤツヤでシロシロでホカホカな米ができる。

 

小学校の家庭科の授業やった以来だ。あのときはすごく時間がかかったような気もしたが、メールを返したり漫画を読んだりしている間に、あっという間に米が炊けた。

 

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ご飯を入れるお茶碗は、Mが私の猫のために作ったもの。Mは陶芸家です。だが、猫のご飯入れはすでに貰い物であったので、自分用のお茶碗にした。四角いのはチャオチュールらしい。

 

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それにしてもほれぼれするほどの白さですな。

 

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前の日に鮭を買ったので、その半分をご飯に乗せて食べる。

米がつやつやとしていて、鮭はきれいなオレンジだ。身をほぐして米と一緒に口へ運ぶ。鮭の塩気で米が延々に食える。うまい。うますぎる。

 

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板東英二以上にゆで卵が好きな私である。朝ごはんにゆで卵は欠かせない。

 

醤油うどんなんて作っていた自分がばかのようだ。土鍋で米を炊いて、焼いた鮭を乗せるだけでこんなにも充実した気持ちになるなんて。テクニックもいらない。料理ってこんなに簡単なものだったのか。

 

このままいけば、私は慎ましく生きられるかもしれません。慎ましの王になるかもしれません。なんかツイッターで「食べ歩キング」という人を見かけたが、その敵キャラ「つつましキング」になる。消費社会に待ったをかけるぜ。ルンルン気分で近くのスーパーをめぐり、いちばん安い品を見極めて肉や野菜や魚を購入する。なんだこれ、すげえ楽しいじゃないか。節約ってエンタメかもしれないなあ。メンズをはべらすよりも土鍋で飯を炊いたほうが楽しいような気もする。いや、メンズのほうが楽しいか……。

 

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とにかく、こうして私は慎ましい暮らしにするりと身を投じた。ドバイとかシャンパンとか、そういったことをまるで思わず、毎日の暮らしのことを大切にするようになってきた。

 

ただ、心配なのは、私が急に「なぜ私は土鍋で飯を炊いてるんじゃ。サトウのごはんのほうが便利なのに……」と、思ってしまうことだ。果たして、私のこうした暮らしは3日坊主で終わってしまうのか。スーパーの袋を持ちながら、松屋の前で立ち止まる。慎ましい生活に、明日はあるのか。

 

(つづく)(とおもう)

 

*これは、わたしが節約生活を続けるためにはじめたブログ内の連載です。みんな応援してください。

ネガティブなことを考えて眠れないから催眠療法を受けに行った

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たまに、寝る前に泣いてしまうときがある。入眠する前の混濁した意識の中で、自分が悲惨な目にあうことをよく考えてしまうのだ。ツイートが炎上してキャリアがすべて終わることや、家族や大事な人たちが嫌な目にあってしまうこと。知人が外国に飛び立つ前日、すごく心配になり、眠れずに神社にお参りにいったこともある。帰国後に話したら気持ち悪がられた。

 

 

 

 

 

あとは、覚悟を決めて寝るときもある。このまま目をつむったら、一生起きないかもしれない。そんなことを考えて、そうして死んじゃった友達のことも思い出して、いや、でも割と私はいい人生を歩んだ……人は生まれて死ぬのだ……と勝手に悟りを開き、寝るときもある。

 

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私は、ネガティブだ。mixiの「ネガティブな人集まれ」というコミュニティに入っていたほどだ。逆に、「ポジティ部」というコミュニティを羨ましく思っていた。

「死ぬこと」への恐怖に襲われることが、日常生活でかなりある。高い場所にいると、「ここから落ちたらどうしよう……」と腰がふわふわするし、隣でボールペンを使っている人がいると「頸動脈を刺してくるかもしれない」と横目でジロジロ見ながら首を隠す。橋を渡るときは、ヤバイ奴がわーっと来てわーっと私を落とすかもしれないと思い、足に力を入れて歩くし、密室にいるときはドアからテロリストが入って来た場合の避難経路を必ず確認する。

 

私が飛び降りないことも、ペンで刺されないことも、ヤバイ奴がいないことも、テロリストがそうそういないことも、何となく分かっている。分かっているけれど、なんか考えてしまう。そういうのってありますよね。

 

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▲ダムに行ったとき好奇心で湖を眺めたら腰を抜かした(楽しそうだ)

 

もっと言うと、脈がマジで無理だ。「脈」という字を見るだけで全身に力が入り、「わー」と叫びたくなる。理由はよく分からないのだけれど、脈を切ると死んでしまうからだろうか。映画などでそういうシーンが出てくると、それだけで全身の生気を吸われたように脱力してしまう。

 

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寝る前に悲しい気持ちになってしまうけれど、不眠ではない。むしろ、毎日8時間くらいぐっすり寝ている。死への恐怖に襲われるときはあるけれど、日常生活にあまり支障はない。「怖いよー」って笑いながら橋を渡ったり、「わー」って叫びながらスプラッター映画を見たりしている。

こういう話をすると、一定数の人から具体的な病名を出されて心配されることがある。私もカウンセリングを受けたりしたけれど、特に問題はなかったし、本当に日常生活には支障がないのだ。

だからこそ、解決法などない気がして、ずっと放っておいた。しかし欲を言えば、やっぱりもっと安心して寝たり生活したりしたい。

 

そこで私は、催眠療法を受けに来たのである。テレビとかで見たことがある催眠術。芸能人がよく犬になるやつ。あれがセラピーに転用されているらしい。かなり胡散臭いし、怖い。でも、知人に「催眠術でとても幸せになった」とピカピカした笑顔で勧められたので、なんとなく安いところを予約してみた。

「退行」という催眠術があり、過去に遡ってトラウマになったことなどを思い出させて解決することができるらしい。それが本当なら、なかなかすごいぞ。ホームページを見たら「幸せな結婚もできる!」と書いてあった。なかなかすごいではないか。

 

ぐっすり寝るために来たものの、前日は「催眠術師に殺される」という悪夢を見て眠れなかった。メールに書いてある場所は、マンションの一室で、チャイムを鳴らすと優しい感じのおじさんが出てきた。

こういう優しい感じのおじさんが一番ヤバイ。これは私が知っている唯一の真理である。しかし、ここで踵を返すわけにはいかないので、案内されるがまま部屋に入った。椅子に座ると、お茶を出された。毒だ。毒が入っているに違いない。悪夢の影響を存分に受けた無用な恐怖に支配されている。

催眠術セラピーについての説明を受け、カウンセリングが始まる。催眠術について先生が丁寧に説明をしてくれた。いいやつじゃん。先生への疑いが薄れていき、正直に生活の問題を話した。

 

本格的なセラピーを始める前に、催眠術にかかりやすい体質かをチェックされた。円の中に十字が書いてある紙を床に置かれ、石がついてあるチェーンみたいなものを渡された。あの、ハンターハンターのクラピカが持っているみたいなやつだ。それを十字の中心点に垂らし、じっと見つめる。頭の中で、円を描くように回るイメージをする。すると、手を動かしているつもりはないのに、どんどんチェーンが回っていくのだ。どうやら私は、催眠術にめちゃくちゃかかり易いタイプだそうだ。

怖いほどぐるぐる回るチェーンを見て先生が喜んでいた。なんか私も嬉しい。

 

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セラピーが始まる。リクライニングチェアに座り、目をつむる。先生の「リラックスしてください」という声と、BluetoothスピーカーとiPhoneがペアリングする音が聞こえる。「あなたはだんだん暗いところに行きます」という声と、カチッカチッと電気を消すヒモを引っ張る音が聞こえる。まぶたの裏から感じるが、たぶん小ちゃいオレンジのやつは付いている。助かる。

 

そこから、先生の指示に従い、白いボートの上に一人で寝そべって、太平洋の真ん中あたりでぷかぷか浮かんでいるイメージをした。すると、だんだんと体が動かなくなっていく。心地の良い金縛り、みたいな感じだった。

 

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そこからあまり記憶がなく、夢を見ていた。あまり眠れなかったから、普通に眠ってしまったのだ。少しして起きると、一つのシーンを思い出した。

 

小学1年生くらいのときの夏休みの記憶。

当時住んでいた家からだいたい10分くらいの四叉路の奥。自販機の下にある小銭を友達と集めている。真っ直ぐ行くとパン屋があって、後ろは自宅のほうで、右は忘れて、左は通っていた小学校。道と道の間に、大きな木がある広い空き地があった。虫が沢山獲れるらしい、姉がよく言っていた。木にブランコが下がっていたような記憶もある。よく遊んでいた場所だったが、ある日、母と祖母に「あそこで女の人が自殺した」ということを聞いた。言葉で言われたか想像したかは分からないが、ブランコの下がっていた大きな木で首を吊ったと思っている。しばらくして通ると、空き地は封鎖されて、ブランコは無くなっていた。

 

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その記憶を思い出して、なぜか涙が出てきた。死というのを初めて感じた時だったかもしれない。やっと思い出せたような気がした。しかし、催眠療法から帰ってから母に聞いてみたら、全く覚えがないようだった。母が近所に住んでいた人たちにも聞いてくれたが、みんな記憶にないようだった。

確かに、私の中には記憶がある。小さい頃の記憶だったから、何かを勘違いしていたのかもしれない。亡くなった女性はいないかも、それだったらいいなと思いながら、記憶にある場所に行ってみることにした。

 

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空き地はなくなっていて、施設みたいなものが建っていた。大きな木があった。事実は分からないけれど、私の記憶では18年前に人が亡くなった場所だ。18年間で、自分で自分を殺してしまう気持ちがわかるようになった。現実がどうしようもなく辛く思えて、追い詰められ、この先の選択肢は死しかないような気になったこともあった。

 

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催眠中に意識の中で見た四叉路。そのイメージを細かく先生に話していると、流れた涙が止まらなくなり、子供みたいに泣きじゃくってしまった。あの時の自殺を感じた悲しみや恐怖が胸に広がる。悲しくて怖くて辛い。涙が止まらなくて恥ずかしい。でも、大人になってこれだけ泣いたのって、鉄拳のパラパラ漫画以来だなあ。あの時計の振り子に人の一生が映るやつ。あれすげえ悲しかったよな……。

 

涙が落ち着いてきたところで、先生が「もっと他にもありますよね……」と、ささやいた。「もっと、過去に遡ってみましょう」。

そうか。これは、退行催眠だから、どんどん過去に遡って思い出さなきゃいけないのか。しまった。小学一年生からスタートしてしまったから、後がないぞ。

 

焦りながらも、少しずつ景色が見えてきた。確か、小学6年生くらいのときだ。催眠術から逆行してしまったけど許してください。

深夜に目が覚めてしまって、リビングへ行くと父が映画を見ていた。父は「この映画は大人向けだから子供は見ちゃダメだよ」と言ってきたが、そう言われるとムカつくので、リビングに居座った。

 

断片的にしか覚えていないが、エロい映画だった。気まずかった。でも、ここで寝室に戻ったらエロいシーンで気まずくなったから戻ったと思われ、もっと気まずいので居座ることにした。

女の人がリストカットをして亡くなるシーンを覚えている。元気だった女の人が、急に自殺をしてしまうストーリーだった。ショックだった。また泣きながらそのことを先生に話す。

 

先生が、「過去を克服するためには、今の視点で過去としっかり向き合いましょう」とアドバイスをくれたので、映画をもう一度見てみることにした。ただ、映画のタイトルが分からない。それに内容も曖昧だった。グーグルでも全く見つからず、ヤフー知恵袋で聞いてみたが回答はゼロ。なんだよ。思い切ってツイッターで聞いてみることにした。

 

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すると、すぐに見つかった。『偶然にも最悪な少年」、タイトルを聞いてピンときた。インターネットですげえな。主演は市原隼人と中島美嘉。AmazonでDVDを注文して、さっそく見ることにした。

 

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やっぱり記憶を脚色してしまうのだろうか、思っていたような直接的なシーンはなかった。ただただ良い映画だった。市原隼人、やっぱかっこいいな。元気だった女性が突然自殺してしまう理由も、今なら文脈から読み取れる。

 

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2つ過去のトラウマ的出来事を思い出した。これで催眠が解かれる……と思ったが、「まだ……何かありますね……もう少し遡りましょう」と言われた。いや、正直もうないぞ。もうない。と思いながらも、ある景色が見えてきた。

 

これは、小学2年生くらいだろうか。昔住んでいた家にいる。母と口論をしている。多分、私が何か悪いことをして、それを母が叱り、それに対して私が逆ギレしているのだと思う。そこでカッとなった私はキッチンに行き、包丁を手に持って、母に向けた。

 

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自分が人に包丁を向けてしまうことがショックだった。自分自身への信頼がなくなった瞬間でもある。母も大変ショックだったと思う。

 

2人きりで真剣な話をするのは恥ずかしい。でも、ずっとモヤモヤしたままでは嫌だった。少し冗談を言いながらも、こういうことがあったよね、と母に話した。すると、「……ごめん、全く覚えてない。でも謝って」と言われた。こう言われると謝るのが嫌になるけれど、素直に謝った。ごめんなさい。

母曰く、自分の半分くらいの子供が包丁を振り回しても全く怖くないそうだ。それよりも、反抗してくれて嬉しかったとのこと。私は子育てをしたことがないから分からないけれど、そういうものなのだろうか。久しぶりに母にご飯をご馳走した。

 

今までで一度も思い返したことはない。それでも、心の中にあったことはわかる。そんな確かな記憶が、意識の中に景色として現れる。それが、催眠術の効果なのかもしれない。自分が見ている風景を先生に伝えるが、口にする言葉がすべて涙に変わっていく。

 

母に包丁を向けたことを泣きながら話した後、「はい、分かりました」と、催眠を解いてくれた。カチカチと電気をつける音と共に、私は現実に戻った。

 

先ほども言ったけれど、今から過去を見ることは大切だそうだ。幼い頃に大変なショックを受けたことも、今しっかりと向き合えば、肯定してあげることもできる。私の場合で言うと、記憶違いがトラウマ化してずっと胸につっかえていたようだった。それが知れただけで、心が軽くなる。

 

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高えなと思いつつも1万5千円を払い、お礼を言って後にした。結局、出されたお茶は怖くて飲めなかった。帰ってからぼーっと見ていたドラマのリストカットのシーンでチャンネルを変えた。

 

日々、社会でせっせと生きている。人が自ら死を選ぶことや、悪人がいること、自分がとんでもないことをする可能性があること。とても複雑で曖昧で矛盾だらけな現実を一つ一つ受け入れてきたのだ。ネガティブになって当たり前だ。
眠れなくてもいいや。不安に苦しめられても別にいい。人生の全てが楽しくなくてもいい。

 

枕の高さが気になる。クローゼットの隙間から気配を感じて慌てて閉めに行く。眼球の定位置がどこか分からなくなる。鍵を閉め忘れていないか不安になる。寝ている間に火事になったらどうしよう。ベランダからテロリストが入ってきたときの対策を考える。
空が白み、そんなことを考えて眠れないバカの輪郭が照らされた。たぶん、もうちょっとで寝られるはず。

 

写真:野口羊 /https://twitter.com/ktzgw

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このコラムは、フミナーズ(2019年6月7日にクローズ)で2018年7月26日に掲載されたものを書き直したものです。フミナーズのクローズに伴い、こちらに移行しました。

*体験談は個人の感想であり、特定の効能・効果を保証したり、あるいは否定したりするものではありません。

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わくわくワークショップととくとくトークです

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こんにちは、藤原麻里菜です。

7月27日にワークショップとトークイベントをやるのでぜひ来てください。

 

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ワークショップでは、「札束でぶたれるマシーン」をみんなで作ります。

仕事のやる気がないときに、札束で自分の顔をはたくことができる便利グッズですので、ぜひご参加ください。うちわをつければ涼しい風がくることもあるかもしれません。往復運動をする機械なので、いろいろなものに転用可能でもあります。

 

7月27日 15:30から。1時間半くらいを目安でお話をしつつ作っていきたいです。

場所は秋葉原ラジオデパートです。

材料費は、2484円です。残りわずかなので、ぜひぜひお越しください!

参加される方は下記リンクからお求めください。

maywadenki.stores.jp

 

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トークイベントは、明和電機の社長とお話をさせていただきます。

実は、わたしは吉本興業に所属しておりまして、明和電機も元々は吉本興業に所属していました。社長と初めてお会いしたのもその縁からでした。

吉本の話はちょっといまネットで話しにくいのですが、トークイベントということで、オフレコで話せたら楽しいかもしれません〜。吉本のはなしもありますが、「物を作ってお金にすること」いや、「社会的に必要のないものを作ってお金にすること」についてもテーマになるやもしれません!

 

そしてそして、社長と私はバンドをやる仲なので、今回のトークイベントも楽器片手にやらせていただきます。ブリッジ的に曲を演奏してやろう、と今日盛り上がりました。

 

youtu.be

 

今日やったセッション! 8年くらいまともに楽器を弾いていないのでおはずかしいですが、やっぱり楽器を弾くのは下手でも楽しい!

 

トークイベントは、7月27日(ワークショップと同日)の18:15-です。

チケットは1500円。こちらからお求めいただけます。

maywadenki.stores.jp

ぜひぜひ、夏を無駄とすごしましょう! お待ちしております。